「特定技能外国人は、職種を変更できる?」と悩んでいませんか?雇用している外国人の職種変更希望を、できる限りサポートしたい雇用主さんはいるでしょう。しかし特定技能外国人で職種の変更ができるかどうかは、イマイチよく分からないですね。
そこで今回は、特定技能外国人の職種変更について徹底的に解説します。
転職の条件や転職方法なども併せて解説するので、特定技能外国人の職種変更についてよく知りたい方はぜひ参考にしてみてください。
目次
特定技能と技能実習とは?目的が大きく異なる!
特定技能の職種変更には、以下の2種類があります。
- 特定技能から特定技能の職種変更
- 技能実習から特定技能の職種変更
そもそも、特定技能と技能実習は目的が大きく異なります。
「特定技能」は日本の人材不足を補うために定められた制度、「技能実習」は日本の技術を自国に持ち帰り広げるために定められた制度です。そのため、特定技能と技能実習では職種が異なります。また、労働力となる特定技能は職種変更ができますが、国際貢献が目的の技能実習では職種変更が認められていません。
ただ、技能実習から特定技能に移行する際の職種の変更は条件をクリアすれば可能です。今後技能実習で働く外国人の期間満了日が近づいて来たけれど、同じ職種が特定技能がない場合などにも役立つので、覚えておきましょう。
特定技能から特定技能の職種変更はできる?条件付きで可能
特定技能間での職種変更は、条件付きで可能です。「特定技能で働く外国人を転職させたいけど、どうしたらいい?」と悩む方は、特定技能の職種変更について以下のポイントを押さえておくことが大切です。
- 職種変更の条件
- 職種変更の手続き方法
転職できる条件と手続き方法について知ることで、特定技能外国人の転職に戸惑わなくなるはず。どのくらいハードルが高いかも検討がつくようになるでしょう。それぞれのポイントを詳しく解説します。
職種変更の条件|同一の業務区分内で転職可能!
特定技能外国人は、転職ができます。ただし、職種を試験なしで変更することがきるのは「同一の業務区分内」または「試験等によりその技能水準の共通性が確認されている業務区分間」での転職のみ。自由に転職ができるわけではありません。
特定技能には12分野があり、さらにその中に「業務区分」があります。例えば建設分野には「土木」や「建築」などの業務区分があり、「土木」で働いていた外国人が「建築」に転職する場合には建築の技能評価試験に合格する必要があります。
つまり、今までと違う業務区分や分野に職種変更をすることもできますが、新たに技能評価試験に合格し、その後特定技能在留資格の変更申請を行わなければなりません。また、同じ業務区分間で他の機関への転職をするときにも、特定技能在留資格の変更許可申請を行う必要があります。
職種変更の手続き方法|在留資格の変更許可を申請!
特定技能外国人が職種変更をしたら、雇用条件書等の入管への届出が必要です。また、特定技能で在留資格があるから大丈夫だと思っていても、転職の場合は、新たに変更許可を取らなければならないので注意!特定技能は一定の機関で決められた活動のみができる在留資格なので、転職するなら変更しなければなりません。
手続きをする場合は、所属機関の本店の住所を管轄する地方出入国在留管理官署に必要書類を提出します。在留資格変更許可の申請書は、出入国管理庁のホームページからダウンロードできます。
さらに、受入れ機関との契約終了と新たな契約をする場合は「所属(契約)機関に関する届出」も必要。特定技能外国人本人により契約終了・契約から14日以内に提出しなければなりません。まだ届出が済んでいない場合は、提出するように伝えておきましょう。
技能実習から特定技能の職種変更は可能!条件をチェック
次に、技能実習から特定技能に移る場合の職種の変更について解説します。技能実習から特定技能への職種変更も、条件により可能です。技能実習からの職種変更について、ポイントを押さえておきましょう。
- 変更できる分野は全12種!
- 試験免除で職種変更できる条件は?
技能実習と特定技能には、移行可能な職種があります。無試験で職種が変更できる場合もあるので、覚えておきたいもの。それぞれのポイントを詳しく解説します。
移行可能な職種は全12種!変更できる分野一覧
技能実習修了後には、特定技能の全ての分野で移行が可能です。特定技能の全12分野は以下のとおりです。(2023年3月現在)
- 介護
- ビルクリーニング
- 素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業(製造3分野)
- 建設
- 造船・舶用工業
- 自動車整備
- 航空
- 宿泊
- 農業
- 漁業
- 飲食料品製造業
- 外食業
特定技能の分野は全14分野でしたが、製造3分野が合併されたため、計12分野になりました。技能実習修了後は技能試験に合格すれば、特定技能のどの分野へも移行が認められています。また、切り替えが認められたら、一時帰国をせずにそのまま特定技能として働くことができます。
技能実習生として一定の経験を積んだ外国人が特定技能外国人として引き続き働けることは、外国人にとっても受け入れる企業にとってもうれしいことでしょう。
職種変更の条件は?試験が免除される要件をチェック!
技能実習から特定技能への職種変更では、試験が免除されることがあります。以下の2つを満たしていれば、試験なしで移行が可能です。
- 技能実習2号を良好に修了
- 技能実習での職種・作業内容と特定技能の分野(業務区分)が一致
免除される試験は、「日本語試験」と「特定技能試験」の両方です。技能実習2号を良好に修了していることが、第一の条件。第二の条件は、技能実習での職種・作業内容と特定技能の分野(業務区分)が一致していることです。
職種が一致しているかどうかは、法務省の特定技能ガイドブックからチェックできます。
技能実習から移行できる職種が増えてきているので、特定技能への移行を考えている方は要チェックです。同時に、受け入れ先が対象業務区分に該当しているかどうかも確認しておきましょう。
特定技能への移行手続きは?在留資格変更許可を申請!
技能実習から特定技能へ移行したい場合は、「在留資格変更許可」を申請する必要があります。在留資格変更許可書は出入国管理庁のホームページからダウンロードできます。
必要事項を記入し、必要書類と共に所属機関の本店の住所を管轄する地方出入国在留管理官署に提出しましょう。特定技能への移行手続きは、切り替えとはいえ新規のように多くの書類を提出しなければなりません。
特定技能への職種変更は可能ですが、ハードルが高いといわれるのは試験勉強や手続きが大変だからかもしれません。特定技能への移行が初めてでよく分からない場合は、登録支援機関に頼んで手続きをしてもらうのもおすすめです。
特定技能への変更許可申請時の注意点は?3つに分けて解説!
特定技能の職種変更には、変更許可申請が必要です。しかし、変更許可を申請するには注意点もあります。変更許可申請時の注意点は、以下の3つです。
- 技能実習2号を良好に修了しているか確認
- 納税義務や必要書類を出しているか確認
- 技能実習生の在留期限日もチェック
書類提出時は何かと確認が必要なことが多いもの。変更が許可されなかった場合は帰国することになってしまうので、きちんと確認しておくことが大切です。それぞれの注意点について、詳しく解説します。
①技能実習2号を良好に修了しているか確認!
特定技能の変更許可を更新するときには、該当の外国人が技能実習2号を良好に修了しているかを確認する必要があります。技能実習から特定技能に変更する場合は、技能実習2号を良好に修了していることが必須。技能実習1号の場合は2号修了まで待ち、技能実習3号の場合は実習を満了しなければなりません。
また、「良好に」修了していることも大切なポイント。該当外国人が技能実習を2年10ヵ月以上修了し、かつ「技能検定3級」もしくは「これに相当する技能実習評価試験(専門級)の実技試験」に合格していることを確認しておきましょう。
もしいずれの試験にも合格していない場合でも、実習中の出勤状況や技能などの修得状況、生活態度などを記載した書面(評価調書)を提出することで、特定技能への移行ができます。諦めずに申請の準備をしましょう。
②納税義務や必要な届出を出しているか確認!
次に、納税義務を果たしていることと必要な届け出を提出していることを確認しておきましょう。技能実習生も、日本で実習を行っている限り税金を支払う義務があります。実習中に納税を怠っていないかどうかは、信用性を計るうえで大切なポイント。納税証明書などできちんと納税していることを確認しておくと良いでしょう。
また、当該外国人がその他の必要な届出を出していることもチェックすべきポイントです。故意に行ったものでなくても、必要な届出をきちんと出していないことが分かると、特定技能の変更許可を受けるうえでマイナスになります。
もし税金が未納だったり必要な届け出が出されていなかったりした場合は、事前に納税や届出の提出を済ませるようサポートしておきましょう。
③技能実習生の在留期限日に注意!
変更届を出す場合は、技能実習生の在留期限が過ぎないように注意することも大切です。特定技能の変更は、申請から2~3ヶ月かかります。そのため、申請したけれど許可が出る前に在留期限を迎えてしまうことも。そうすると特定技能を希望する外国人は一時帰国しなければなりません。
技能実習生は何度も一時帰国する必要があるので、なるべくならそのまま特定技能として日本に滞在したい方も多いでしょう。在留期限が過ぎる前に許可が下りるように、技能実習からの移行を考えているなら早めの準備をしておくことをおすすめします。
もし在留期限日が過ぎてしまったとしても、特定技能を取得することは可能です。ただ、新規で特定技能を取得する扱いになるので、変更届よりも審査や承認にかかる時間が長くなります。そのため、できれば在留期間内に承認が出るようにしたいものです。
特例措置「特定活動」とは?一時帰国の必要なし!
特定技能の職種変更は可能ですが、もし在留期限が近いなら「特例措置”特定活動”」を検討してみるのも良いでしょう。「特例措置”特定活動”」とは、受入れ機関や受入れ予定機関で就労しながら移行の準備が行える期間。特例措置について、以下の3つのポイントを押さえておきましょう。
- 特例措置と適用条件
- 特例措置の申請手続き
- 特例措置の最新情報
貴重な在留資格のひとつである「特例措置」は、一時帰国の必要なく日本で就労ができるチャンス。それぞれのポイントについて、詳しく解説します。
特例措置”特定活動”と適用条件|滞在期間の延長が可能!
特定技能に移行予定の方のための特例措置とは、移行の準備がやむおえない理由でできなかった方のための一時的な措置です。認められると4ヶ月間受入れ予定期間で就労ができ、特例措置中の就労は特定技能の就労期間としてカウントされます。
適用される主な条件は、以下のとおりです。
- 特定技能1号に変更を希望している
- 技能実習2号を良好に修了または技能試験と日本語試験に合格している
- 在留期間満了までに在留資格変更許可申請を行うのが困難な理由がある
特例措置は何度でも取れるわけではなく、一度きりの措置です。しかし、「雇用している外国人が日本で特定技能として就労する予定だけど準備が間に合わない…」そういった場合は、「特例措置」が役立つでしょう。
ただ、特定技能1号の資格取得まで時間がかかる相当な理由がない限り、認められないものですので、申請の際には十分に注意した上で、スケジュールしましょう。
特例措置の申請手続き方法|必要書類を用意
特例措置の申請手続きは、地方出入国在留管理局で行います。必要書類を用意し、地方出入国在留管理局に提出しましょう。用意する書類は以下の4点です。
- 在留資格変更許可申請書(顔写真が必要)
- 受入れ機関が作成した説明書
- 雇用契約書と雇用条件書などの写し
- 必要な技能試験と日本語試験合格の証明書or技能実習2号を良好に修了した証明書
必要書類の一部は出入国管理庁のホームページからダウンロードできます。
支援計画などは必要ないので、比較的簡単に申請ができるかと思います。4の試験に合格していることの証明書と技能実習2号を良好に修了したことの証明となる書類は、在留資格変更申請時に使うものと同じでOK。変更申請のときにあらためて用意する必要はありません。
まとめ|ハードルが高い転職もご相談を!
特定技能の転職は自由ですが、ハードルが高いものです。本人の意思もありますが、新規受け入れ先での協力も不可欠。手続きや必要なことが分かりにくいので、登録支援機関に相談するのもおすすめです。
KMTでは、特定技能の転職に関する相談も受け付けています。「職種変更は可能?」「変更の手続きは?」など、特定技能の職種変更には疑問がつきもの。必要書類を揃えるサポートも致しますので、技能実習から特定技能への移行実績の多いKMTにまずはご相談ください!