産業機械製造業と聞いて、ピンとくる方はいますか?製造業の中でも年々需要が高まっているのが産業機械製造業。「外国人を特定技能として受け入れたいけれど、どうしたら良いのか分からない」と困っている方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、産業機械製造業での特定技能外国人の受け入れについて徹底解説。具体的な特定産業分類や協議会への加入方法、試験の日程などについても紹介します。知っておくと、産業機械製造業での受け入れがスムーズにできるようになりますよ。
製造3分野とは?その中でも産業機械製造業の特徴は?
製造業は、外国人労働者の多い業種。経済産業省は特定技能に「製造3分野」を作り、日本の人手不足を解消しようと試みています。産業機械製造業も、製造3分野のひとつ。製造3分野および産業機械製造業について、以下の4つのポイントを押さえておきましょう。
- 製造3分野とは?
- 産業機械製造業はどんな業種?
- 産業機械製造業の現状と課題
- 対象となる業務18種を紹介
産業機械製造業の実態を知ることで、雇用する心構えができるはず。それぞれのポイントについて、詳しく解説します。
製造3分野とは?素形材産業、産業機械製造業、電子・電機関連産業
特定技能の中でも、飲食料品以外の産業計製造業は「製造3分野」と言われます。「製造3分野」は、以下の3つです。
- 素形材産業
- 産業機械製造業
- 電気・電子関連産業
いずれも経済産業省が管轄する分野で、多くの外国人が働きながらも深刻な人手不足に悩まされている業種。製造3分野での特定技能外国人受け入れには、新設された技術試験の合格と、製造業特定技能外国人受入れ協議・連絡会への加入が必要です。
「素形材産業」は、金属などを加工・成形して車の部品やギアなどを作る職種。「産業機械製造業」は、工場の食品自動製造機など人の補助をする機械を作り、「電子・電機関連産業」はパソコンやスマホなどに使われる電子部品の製造などを行います。
産業機械製造業はどんな業種?
産業機械製造業は、2019年4月に改正された入管法により特定技能として認められるようになった業種です。工場内で使われる機械などを作る仕事で、以下のような機械の製造も行います。
- 建設機械
- 農業機械
- 工業機械
- 木工機械
インフラ整備に大きく関わってきたものづくりに欠かせない産業です。具体的には、以下のような物の製造をします。
- 機械刃物
- ボルト・ナット・ねじ
- コピー機
- ボイラ・原動機
- エレベーター・エスカレーター
- ゲームセンターで見られるアミューズメント機器
- 遊園地機器
このように人間に代わって作業の補助をしたり娯楽を提供してくれる機械を製造するのが、産業機械製造業。私たちの暮らしを支えてくれている業種のひとつです。
産業機械製造業の現状と課題
産業機械製造業では、5年間で最大5,250人の特定技能受け入れの上限が設定されています。それにもかかわらず受け入れが上手くいっているとは言えず、有効求人倍率は2.89倍と働きたい外国人に対して受け入れの準備が整っていないのが現状です。
2016年から技能実習生の受け入れがスタートしたことで、産業機械製造業で働く外国人は増えています。しかし、技能実習生は3年で帰国してしまうので、その後の人材確保がこれからの課題。特定技能の在留資格整備により、今後特定技能へ移行して働く外国人が増えてくることが望まれます。
特定技能に移行すると、即戦力となる知識と経験がある人材を5年間確保できるので、製造業における人手不足解消への鍵として積極的な受け入れが行われることでしょう。
特定技能「産業機械製造業」の対象となる業務は?全18職種を一挙紹介!
産業機械製造業として特定技能で受け入れ可能な職種は、以下の18種です。
- 鋳造
- 鍛造
- ダイカスト
- 機械加工
- 金属プレス加工
- 鉄工
- 工場板金
- めっき
- 仕上げ
- 機械検査
- 機械保全
- 電子機器組立て
- 電気機器組立て
- プリント配線板製造
- プラスチック成形
- 塗装
- 溶接
- 工業包装
いずれの業務も、指導者の指示を理解し、又は状況に応じて自ら判断して作業を行うことが求められます。また、各業務に付随する作業も、日本人が同じ業務をするのであれば外国人も行うことが可能です。
各業務に付随する作業の例には、以下のようなものが挙げられます。
- 原材料や部品の調達・搬送
- 各職種の前後における工程作業
- クレーン・フォークリフトなどの運転
- 清掃や保守管理
なお、雇用形態は直接雇用のみで、派遣で雇用することはできません。
製造3分野は協議会への加入が必須!
産業機械製造業を含む製造3分野は、製造業特定技能外国人受入れ協議・連絡会への加入が義務付けられています。確実に協議会へ加入するために、加入のステップを覚えておきましょう。加入に必要なステップは、以下の5つです。
- 制度についてしっかり理解
- 日本標準産業分類番号をチェック
- テンプレートをダウンロード
- 企業情報を入力
- 会員名簿への掲載を確認
受け入れの際に必ず必要になるのが協議会への加入。ひとつひとつのステップを押さえ、スムーズに加入を済ませましょう。
ステップ1|制度についてしっかり理解する!
製造3分野において特定技能を取得する外国人は、製造業特定技能外国人受入れ協議・連絡会(協議・連絡会)に加入しなければなりません。受け入れ機関は、特定技能外国人を受け入れた日から4ヶ月以内に協議・連絡会に加入する必要があります。
初めて特定外国人を受け入れる場合には、在留許可申請の時に地方出入国在留管理局に「製造業特定技能外国人材受入れ協議・連絡会の構成員となる旨の誓約書」を提出しなければなりません。2回目以降の受け入れの場合は、構成員であることの証明書が必要です。
加入後は、協議・連絡会が行う一般的な指導、報告の徴収、資料の要求、意見の報告、現地調査などの業務に対し、必要な協力を行わなければなりません。
ステップ2|対象の日本標準産業分類の番号の細分類に当てはまるか確認する!
産業機械製造業の特定技能での受け入れができる業務は、日本標準産業分類番号で定められています。受け入れが可能な業務は、以下のとおりです。
- 2422 機械刃物製造業
- 248 ボルト・ナット・リベット・小ねじ・木ねじ等製造業
- 25 はん用機械器具製造業(ただし、2591消火器具・消火装置製造業及び素形材産業分野に掲げられた対象業種を除く。)
- 26 生産用機械器具製造業(ただし、素形材産業分野に掲げられた対象業種を除く。)
- 270 管理、補助的経済活動を行う事業所(27業務用機械器具製造業)
- 271 事務用機械器具製造業
- 272 サービス用・娯楽用機械器具製造業
- 273 計量器・測定器・分析機器・試験機・測量機械器具・理化学機械器具製造業
- 275 光学機械器具・レンズ製造業
なお、該当業務で1年以内に製造品の出荷が行われていることが、対象となる条件です。
ステップ3|テンプレートをダウンロードし、必要情報を記入する!
対象の分類が確認できたら、経済産業省の特定技能外国人材制度(製造3分野)のポータルサイトから、証明書類作成テンプレートをダウンロードし、必要な情報を記入しましょう。
証明として提出しなければならない書類は、以下の通りです。
- 製造品及びその用途が確認できる画像と説明文(※1)
- 製造品を生産するために用いた設備(工作機械、プレス機等)の画像及び説明文(※1)
- 事業実態を確認できる、直近1年以内の証跡画像(上記①の製造品の納品書、出荷指示書、仕入れ書等)
(ポータルサイトから引用:https://www.sswm.go.jp/entry/reception.html)
該当の方は、以下の書類の提出も必要です。
- 請負による製造の場合は、『請負契約書の写し』(※2)
- 権利等の関係で、製造品等の画像を提出できない場合は、『製造品の画像提出不可の理由書』(様式自由)
- その他、製造業特定技能外国人材受入れ協議・連絡会から確認の過程で追加提出の指示があったもの(初回届出時は不要です)
(ポータルサイトから引用:https://www.sswm.go.jp/entry/reception.html)
よく確認し、提出漏れのないようにしましょう。
ステップ4|フォームの入力画面から企業情報を入力し、申請を行う!
証明書類作成テンプレートをダウンロードし、表示されている全ての項目にチェックを入れると、入会手続きへと進むことができます。フォームの入力ステップは、以下のとおりです。
- 法人情報入力
- 受入れ事業所情報入力
- 特定産業分野情報入力
- 入力情報確認
- 送信完了
途中で保存ができないので、ポータルサイトで入力サンプルをチェックし、すらすらと入力できるように準備をしておきましょう。
届出は、事業所ごとに行います。同じ会社の異なる事業所で別の特定技能外国人の受け入れをする場合は、2回申請を行う必要があります。一方、同じ事業所で製造3分野の中でも違う分野で2名を受け入れる場合は、1回の申請で済ませることができます。
ステップ5|会員名簿に掲載を確認し、加入完了!
協議・連絡会に加入すると、経済産業省ホームページの会員名簿に名前が公表されます。会員名簿への掲載が確認できたら、協議・連絡会への加入は完了です。
初めて産業3分野での特定技能外国人の受け入れをする企業は、外国人入国から未加入で4ヶ月を過ぎると、不正とみなされ在留資格が認められなくなってしまうこともあります。外国人が入国したら、なるべくすぐに協議・連絡会への加入準備を進めましょう。
協議会の目的は、特定技能外国人の適正な受け入れと保護および受け入れの地域差をなくすこと。受け入れを円滑に行い外国人労働者が快適に過ごせるように、そして製造業の労働力を拡大するために、いち早く加入しておく必要があります。
産業機械製造業で働く人材を探すには?
日本の製造業での人手不足は、深刻な状態です。そんな中、産業機械製造業で働く人材は、どのように探せば良いのでしょうか?ここでは、どのような方が受け入れ可能なのか、人材探しのヒントとなる情報を紹介します。ヒントとなるポイントは、以下の4つです。
- 日本語試験と評価試験合格が必要
- コロナの影響で海外試験が延期
- 技能実習2号終了者は試験免除
- 帰国困難の特定活動での就職も
それぞれのポイントについて、詳しく解説します。
日本語の試験と製造分野特定技能1号評価試験への合格が必要!
産業機械製造業を含む製造3分野における特定技能には、日本語の試験と製造分野特定技能1号評価試験への合格が必須条件です。技能試験は実施する国の現地語で行われ、コンピューター方式、ペーパーテストまたは作業試験方式で行われます。
学科試験は65%以上、実技試験は60%以上が合格基準。合否結果は試験後3ヶ月以内にEメールで送信され、合格して受け入れ機関と雇用契約が結ばれたら、受け入れ機関は合格証明書の交付を申請します。すると受け入れ機関に合格証明書が交付されます。
日本語試験は、以下のいずれかに合格する必要があります。
-
- 国際交流基金日本語基礎テスト
- 日本語能力試験のN4以上
日本語試験では、日常会話が理解できる程度の日本語力がテストされます。
コロナウイルス感染症拡大で、海外での試験が延期!
産業機械製造業での特定技能取得に必要な技能試験ですが、コロナウイルスの感染症拡大により、海外での試験が延期になっています。2021年8月20日に予定されていたフィリピンでの試験は延期になりました。
しかし、インドネシアなどの今後の海外試験は開催予定です。試験は溶接と溶接以外の18区分に分けて行われます。今後の試験日程は以下のとおりです。
【溶接以外の18区分】
- インドネシア会場:2021年10月26日(火)・27日(水)・28日(木)(受付終了)
- タイ会場:2021年11月7日(日)
- 国内会場:2021年11~12月、2022年1~2月を予定
【溶接】
- 名古屋会場:2021年11月2日(火)
新型コロナウイルスの感染状況などにより予定が変更されることもあるので、製造3分野のポータルサイトを随時チェックしておきましょう。
技能実習2号修了者は試験が免除!
特定技能「産業機械製造業」での受け入れに必要な2種の試験は、技能実習2号を良好に終了した方は受ける必要がありません。日本語試験は全ての技能実習2号終了者が免除となり、技能試験は業務内容が技能実習生の時に従事していたものと根幹となる業務に関連性のあるものの場合に免除になります。
つまり、産業機械製造業に関連する業務を行っていた技能実習2号を良好に終了した外国人は、産業機械製造業における特定技能への移行が可能。特定技能の在留資格を手に入れたら、そのまま最大5年間日本に滞在しながら働けることになります。
技能実習生からの移行で受け入れる場合は、受け入れ機関は3年間の技能実習で得た知識・経験を生かした即戦力となる人材を確保することができるでしょう。
帰国困難の特定活動で、働きながら試験合格を目指すことも可能
新型コロナウイルスの感染拡大により、帰国が困難になった技能実習生には、特別措置として6ヶ月間の「特定活動」という在留資格が与えられます。特定活動では就労が可能なため、以前の職場で働きながら特定技能の試験合格を目指すことも可能です。
技能実習生の時には違う分野で働いていた方でも、特定活動で日本にいながら産業機械製造業で特定技能の取得を目指すことができます。
また、帰国困難で日本で生計を立てるのが困難な方に関しても、2020年12月から資格外活動として週28時間までのアルバイトなどが可能になりました。働きながら特定技能の取得を目指すことは可能。企業は帰国困難者の中から産業機械製造業で働ける人材を探すこともできますね。
まとめ|産業機械製造業での受け入れはKMTがサポート!
産業機械製造業は、製造3分野のひとつである日本のものづくりの中でも大きな位置を占めている分野。暮らしの基盤となる機械を製造する業務です。
産業機械製造業および製造3分野の受け入れには、協議・連絡会への加入と技能試験への合格が必要。しかし、必要な手続きが大変で受け入れが難しいと感じることもあるでしょう。そんな時には、経験豊富なKMTにお任せください!これまで技能実習生・特定技能外国人を受け入れてきたKMTが、専門分野での受け入れもサポート致します。特定技能外国人を受け入れたい経営者の方は、ぜひ一度ご相談ください。